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子供の近視進行

先日、日本小児眼科学会総会で「デジタルメディアと近視」についての発表がありました。近年、東アジアでは子供の近視進行が問題となっています。欧米などに比べて近視が進んでいる子供の割合が高いとされており、各国での様々な研究や報告や取り組みなどの報告がありました。

 

デジタルメディアとは、タブレット・スマホ・ゲーム機などを使って、動画を見ることやゲームを行うこと、電子書籍などもデジタルメディアに含まれます。

 

「台湾」からは、1日30分以上のスマホの使用は近視のリスクを約2.21倍にするという研究結果や、「中国」では、国主導で近視予防の対策に取り組んでおり、電子デバイスを見る時間を制限したスクリーンタイム規制を行っていることなどが挙げられました。

 

また近視進行のみの側面からは、「シンガポール」では、「顔と本の距離が30㎝以下で読書をする子供の近視の発症リスクは、1.8倍になるとの報告もありました。

 

各国で子供の近視進行に対して研究が進められており、様々な取り組みがされていることが紹介されましたが日本では、まだ予防的規制などは行われておらず、ご家庭での自助努力によるところが大きいのが実情です。

 

しかしながら子供たちにとって、学校や社会においてデジタルメディアは、今以上に生活から切り離せないものになると考えます。

 

子供のうちから「タブレットやスマホは時間を決めて使う」「明るいところで顔から画面を離して見る」など、目に良い生活習慣を身につけることは、将来的に近視の発症や進行を抑え、生活の質を良くし、眼の病気の発症を抑えることにも繋がります。そのために出来る、いくつかの方法をご紹介します※近視の進行を完全に止めたり、今ある近視を治すものではありません。すべての方に適しているわけではありません。適応や治療の可否は医師の判断によります。

 

 

≪近視進行を抑制するための方法・治療≫

 

◎屋外活動の時間を増やす 

屋外活動の時間の長さが近視の予防に大事であるということが、研究で明らかにされています。特に小学生時期の屋外活動の時間の長さは、その後の近視の進行の予防に効果があることもわかっており、この時期の外遊びの時間は非常に重要といえます。

 

直射日光を浴びるというよりも、屋外であれば木陰などで1~2時間程過ごすだけでも近視の進行抑制には十分な効果が得られます。太陽光に含まれるバイオレットライトが近視進行を抑制する遺伝子(EGR-1)を活性化させることがわかっています。

 

またクチナシ由来の色素成分であるクロセチンを体内に摂取してもこのEGR-1遺伝子を活性化することもわかっています。

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マイオピン点眼薬(自費診療)

有効成分アトロピンを低濃度で配合した点眼薬です。副作用が少なく近視の進行を効果的に抑えることが数多くの研究で示されています。長い期間の使用がより効果があると立証されています。

 

使用方法は、毎晩就寝前に1滴点眼します。オルソケラトロジーと併用も可能です。現在、マイオピン0.01%と0.025%の2つの製品がありますが、当院ではより販売期間が長く、効果が証明されているマイオピン0.01%のみ取り扱っております。

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オルソケラトロジー(自費診療)

夜寝る前に専用コンタクトレンズをつけて、就寝中に視力を矯正し、日中は裸眼での生活が可能になります。

 

各国の大学や、研究機関でも研究・報告が行われており、様々な文献において50%前後の近視抑制効果が報告されています。角膜が柔らかい子供の頃から始めるほど、近視進行抑制効果が高まるという学会発表があります。検査・診察の上で適応があれば、治療を開始できます。

 

当院では、SEEDのオルソケラトロジーを取り扱っております。

 

EDOF型近視進行抑制コンタクトレンズ

EDOF型のコンタクトレンズを装用することでも、眼軸が長くなることを抑制します。通常のソフトコンタクトレンズと同様に日中に装用することで、子供の近視進行を抑える治療方法です。通常のソフトコンタクトレンズと使用方法は同じです。当院では、中学生以上からの適応となります。

 多焦点ソフトコンタクトレンズ「イードフ」

 

また、近視発症には遺伝要因もあるとされており、遺伝要因というのは両親から引き継いだ遺伝情報のことで、遺伝情報は生まれてから基本的に変わることはありません。両親の両者またはどちらか一方が近視の場合、近視でない場合に比べてお子様の近視発症のリスクは高まります。

 

このことから、出来るだけ子供のうちに遺伝要因を知ることによって、遺伝リスクが高い場合はもちろんのこと、日々の生活のなかで近視のリスクを低下させるように過ごすように気を付けていくことが出来ます。

 

当院では、近視遺伝子検査キット(¥15.000税・送料込)を取り扱っており、口腔粘膜を採取し検査機関に発送すると、遺伝子リスクを解析し、5段階評価の結果がご自宅に届きます。

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近視の近視の兆候(黒板が見えにくい・テレビに近づいてみる・本を読むときに本と顔が近い等)が見られたり、学校検診などで指摘された場合には、是非受診し、近視の有無だけでなく定期的にお子様の眼の健康をチェックしてください。

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