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液状後発白内障

暑い日が続いておりますがいかが過ごしですか。
先週は夏休みをいただき、自宅でゆっくり過ごすことができました。

久しぶりのブログ更新となりました。
今回は「液状後発白内障」についてご紹介します。
「白内障」は、水晶体が濁る病気ですが、「液状後発白内障」は、病名に白内障とつきますが、水晶体が濁る病気ではありません。
「液状後発白内障」は、白内障手術時に人工の眼内レンズを嚢という袋に挿入しますが、その袋の後ろの部分(後嚢)と眼内レンズの間に水がたまり、袋内に残っている細胞が増殖することでこの水が白く濁る状態を「液状後発白内障」といいます。
また、似たような名前で「後発白内障」という病気もあります。こちらは、袋(嚢)の部分が濁ります。

 

この「液状後発白内障」の患者さまが先月続けて来院されました。
来院されたきっかけや症状は、目のかゆみや眼鏡の度数の確認、片眼の白内障手術についてのご相談とそれぞれ違ったものでしたが、数年前に片眼の白内障手術をされているというところが共通していました。
稀に「液状後発白内障」は、見落とされることがあります。昔の眼内レンズには、ホワイトニングといってレンズ表面が白く変色するものがあり、この場合は、実際の視機能(見え方)に影響しないのでそのままの状態で問題ありませんでした。しかし、「液状後発白内障」の場合は、白っぽく見えるなど視機能に影響がでるため治療を必要とします。中には、顕微鏡で見ても、レンズの白さなのか液状後発白内障なのか判断が難しい場合もあり、白っぽく見えるなどの自覚症状を言われていない場合や症状が軽い場合は、治療をせずにそのままになっているケースもあります。

 

【症例1】 視力検査:右(0.8)、左(1.2)
目のかゆみについてのご相談でした。診察してみると、かゆみは、おそらく軽度のアレルギーでした。右眼にも白内障があり、左眼は既に白内障手術は終えられておりました。視力は良好ですが、液状後発白内障の所見が認められました。そのため患者さまに「左眼は白っぽく見えませんか?」と聞いてみると、患者さまは驚かれたような表情を浮かべてこれまでの症状や経過をお話ししてくださいました。左眼の白内障手術は3年程前に他院でお済みでしたが、その後徐々に白っぽくなってきたとのことです。手術をした先生に症状をお伝えしたところ、「これ以上、見え方はよくできない」と言われそのままにしていたそうです。

 

【症例2】 視力検査:右(1.0)、左(1.2)
眼鏡の度数が合っているかの確認と、右眼が白っぽく見えるのでまた白内障になっているのかというご相談でした。この方は、2年前に右眼の白内障手術をされており、液状後発白内障になっていました。白っぽく見えるということで手術を行った医院に行かれましたが、経過観察の状態で現在まできているとのことでした。

 

【症例3】 視力検査:右(1.2)、左(0.6)
3年前に、右眼の白内障手術は終えられていて、左眼の白内障手術をするにあたって多焦点レンズについて話が聞きたいとのことでした。こちらについては、残念ながらすでに右眼に単焦点レンズを挿入していたため、左眼も単焦点レンズを挿入する方が良いということをお伝えしました。両眼を診察してみると、すでに白内障手術をしている右眼には液状後発白内障の所見が見られ、「白っぽく見えませんか」と聞いてみると、少し白く霞んだように見えるとのことでした。

 

治療方法は、症例1,2、3の患者さま全て、YAGレーザーで後嚢に穴を開けました。その穴から、濁った水が眼の奥の硝子体腔に流れ込み、吸収されることによって白っぽさがなくなり鮮明に見えるようになります。
手術と違いレーザーは、外来で行い、短時間(5分ほど)で終わります。基本的に、次回は1週間後に来院いただきます。レーザー直後は、浮遊物のようなものが見える方もいらっしゃいますが1週間ほどで落ち着きます。
皆さま1週間後の診察では、「以前よりはっきり見えるようになった」や「霞がなくなった」とおっしゃっていました。

【症例1患者さまの治療】
★レーザー治療前
眼内レンズが全体的に白っぽく、光が反射しているように見えています。


★レーザー治療後
レーザー前に比べて全体的に白っぽさが消えています。黄色い矢印の部分が後嚢の中央部分です。レーザーで最小限の穴を開け、濁った水を拡散させて吸収を促しました。

 

現在使用されている眼内レンズは、白内障の手術後に濁ること(ホワイトニング)はほとんどありません。しかし、「後発白内障」や「液状後後発白内障」などが発症することはありますので、気になる方や白っぽく見えるなどの症状がある方はご相談ください。

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