ブログ

白内障手術症例④(iStent(アイステント)による低侵襲緑内障手術を併用)

当院では、昨年よりiStent(アイステント)による低侵襲緑内障手術(MIGS:micro invasive glaucoma surgery)併用の白内障手術を開始しております。

 

緑内障の患者さまは、2種類以上の点眼を併用している患者さまが多くいらっしゃいます。緑内障の点眼治療は点眼薬により眼圧を下げて緑内障の進行を遅くし進行を止めることが目的です。しかし点眼薬で緑内障の進行は抑えられますが、緑内障の点眼薬は眼の表面に対する刺激が強くアレルギー症状が起きたり、細かい傷ができることもあるため、出来るだけ点眼薬を減らすことが望ましくなります。

そのために考えられたのが低侵襲緑内障手術(MIGS:micro invasive glaucoma surgery)です。※これ以降は、低侵襲緑内障手術をMIGSと呼びます。

緑内障手術には様々な術式がありますが中には角膜内皮細胞が減少したり、手術の効果がなくなり再手術が何度も必要になってくるような手術もあります。

しかしMIGSは大幅な眼圧降下はありませんが、手術後の合併症は少なく比較的安全に行えるため今後も普及していくと思われます。

 

アイステントを用いた手術では、直径0.36mm(360㎛)のチタンでできた非磁性体のデバイスを用います。日本では2017年から厚生労働省に認可されております。

 

写真①(iStent(アイステントの大きさ)
実際の大きさは、写真①のようにかなり小さいものになります。

このデバイスを房水(眼の中の水:この水が眼内に貯まると眼圧が高くなります)の吸収口である線維柱帯(網目状の構造)に埋め込むことで房水が集合管であるシュレム管へ流れやすくします。それにより眼内の房水の量が低下し眼圧が下がることになります。

 

下の【図①】は、目の断面図から見た、アイステントの挿入場所です。
【図②】は、アイステントを挿入する場所を拡大したものです。

【図②】では、網目状の構造の線維柱帯にアイステントを挿入し奥のシュレム管に房水を流れやすくします。

 

【実際に挿入した写真】 黄色い○の中に囲まれた部分がアイステントです。

 

iStent(アイステント)による低侵襲緑内障手術に期待される効果は、この手術は白内障手術と同時に行うので白内障の治療も同時にできること、手術時の眼の切り口が小さいので回復が早いこと、また眼圧を下げる効果が期待できます。先述したように手術後に眼圧が下がることで、緑内障治療用の点眼薬の数を減らす可能性があります。

しかし合併症もあり、出血や眼の違和感、一過性の高眼圧や低眼圧などの事象が報告されております。

 

この手術は、白内障手術時間に加えて5分程で行えるため、白内障手術が適応でかつ緑内障の患者さまにとっては、同時に治療を行うことが出来ること、また点眼をする回数も少なくなり、且つ経済的負担も少なくできるというメリットがあります。

全ての緑内障に適応があるわけではありませんので、緑内障の治療をしていて、点眼を減らしたいとお考えの方は、まずはご相談いただければと思います。

 

医療は日々進化しておりますので、今後も勉強を怠らず最新の治療を皆さまにお届けできるよう努めていきます。

TOPへ